少子化の原因と対策❷フランスなど欧州の子育て支援

少子化の原因と対策❷フランスなど欧州の子育て支援


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【このページの目次】

◆フランスの社会保障、子育てリンク集

◆フランスの社会保障、子育ての充実=高い出生率の背景=筆者・資料

◆フランスの高い出生率の背景=産む国フランスに学ぶ7つの政策

◆フランスの高い出生率の背景=ジャニック・マーニュさんインタビューなど(井上伸)

◆フランス女性はなぜ仕事を続けられるのか=「母親の仕事」がやたら多い日本と大違い

◆北欧・イギリス・フランスの子育て政策

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🔵フランスなど欧州の社会保障、子育てリンク集・資料

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◆◆当ブログ=少子化の原因と対策の決め手日本

★★少子化・子育て対策待ったなし .フランスの少子化対策に学ぶ=田中喜美子9m

★★手厚いフランスの子育て支援=なんと月14万円近くも

(NHK番組=「フランスは産んでいる)48m

★★手厚いフランスの子育て支援2

(そもそも総研)20m

https://m.youtube.com/watch?v=w7BySWTZ1W0

★★フランスの社会保障・都留民子

(あだち安人氏作成)

1607前衛・藤森=子育てしやすい国、しにくい国.pdf 

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【筆者コメント】 

🔵フランスの社会保障、子育ての充実=高い出生率の背景

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「日本の出生率が1.3なのに、フランスはなぜ2.0という高い出生率をとりもどしたのか」を掘り下げたNHK番組=「フランスは産んでいる」が昨年話題をよびました。多くのフランスの母親たちは「最低3人は産みたい」と語っています。ニコラさん一家(35歳の経理の仕事、妻38歳の小学校教師=現在育児のために5分の4の短時間勤務中。2人あわせて月収60万円)には3人の子どもがいます。小学生の7歳の長女、6歳の長男、2歳の次女です。3人の子育てのための政府支援の手当は、なんと1か月で合計13.5万円。これには驚かされました。まず家族手当が子ども3人で4.3万円(日本は児童手当3人で2万円=フランスと違い所得制限あり)3歳未満の乳幼児に支給される乳幼児基礎手当2.7万円(日本は11万円)、育児短時間勤務への所得保障2.1万円(最長3年間)、保育所に預ける際に支給される託児補助4.2万円がその内訳です。そのほかにも長女の新学期手当(新学期ごとに4.1万円。18歳まで)や大家族カード利用による国鉄・地下鉄・遊園地・スーパーでの割引もあります。税金の軽減もあります。

こうして3人の子どもたちが18歳になるまで支給される政府のニコラさん一家への子育て支援総額は、なんと約1,300万円にもなり日本の平均の3.7倍にもなります。政府が強力に仕事と子育てを応援しているのです。厚労省の計算だと日本がフランス水準の子育て支援をしようと思ったら年間10.6兆円も必要だと試算しているほどです。週35時間という世界一の労働時間制度、夫の献身的な家事協力も加わり、フランスの少子化は克服されつつあるのです。

◆◆日本の社会は子育て支えて 仏在住のライター・高崎順子さん

20161112日朝日新聞

高崎順子さん

 共働きの親たちを支える保育所を含め、子育ての環境は国によって様々。かつては日本と同じように出生率の低下に悩み、現在は大幅な回復をみせたフランスで暮らし、子育てを取材しているライターの高崎順子さん(42)に日本との違いを聞いてみました。

 ――日仏の子育てを比べて驚いたことは?

 保護者負担の違いが大きいですね。2年前に子育ての取材を始めて日本のお母さんに話を聞いたとき、まず保育園への持ち物の多さに驚きました。一つひとつ名前を書いたおむつに着替えにタオル……。フランスは手ぶらで通えるし、シーツやタオルは共用で洗濯は保育士以外の専任の清掃員がします。

 衝撃的だったのは、日本では使用済みのおむつを保護者に持ち帰らせる保育園があること。「便を見て子どもの健康状態を把握して」とのことですが、何人の保護者が家でおむつを開けているでしょう。フランスの保育士に話すと絶望的な顔をされます。

 ――なぜそんなに違うのでしょうか。

 背景に子育てに対する考え方の違いがあります。日本では「子を持つことは幸せなこと。親ならその幸せを自覚して最大限努力すべき」との考え方がありますが、フランスでは「子育ては大変」が共通認識で、親を社会が支えようという意識が強い。例えばそれがタクシー乗り場でも、子ども連れや妊婦は高齢者と同じように優先されます。

 ――その意識が広がったきっかけは?

 一つには、少子化への危機感がありました。女性の社会進出が進むとともにフランスでも出生率が低下し、1993年には1・66にまで落ち込んだ。「仕事と子育ての両立が難しい時、女性は仕事を選ぶ」という傾向が数字に表れたわけです。そこで仏政府は家族政策を転換し、親への支援に力を注ぎ始めました。2002年に導入された出産後2週間の「父親の出産休暇」もその一環で、雇用主は拒むことはできません。12年には約7割の父親が取りました。

 ――日本では男性の育児参加が課題です。

 フランスでも「産休」とは別に最長2年取れる育休の男性取得率は2%で、まだ課題はあります。一方、日本は男女共同参画と言いながら男性側の生活がほとんど変わらず、仕事に子育てにと女性の負担だけが増えている。それが悪影響し、女性が男性と社会を信用できなくなっているように見えます。非婚化や少子化は、そうした社会への声なき「ノー」でしょう。

 足元を見れば、すぐできることはいっぱいある。日本も、まずは男性も出産直後の産休を取ることから始めてみてはどうでしょう。

 (聞き手・伊藤舞虹)

    *

 たかさき・じゅんこ 1974年、東京都生まれ。ライターとしてフランス文化や子育てなどを取材しながら、4歳と7歳の息子を育てる。新刊に「フランスはどう少子化を克服したか」(新潮社)。

◆高崎順子著『フランスはどう少子化を克服したか』

「赤ちゃんと知り合うための期間」として保障された計14日間の父親産休、妊娠・出産・乳幼児に関わる医療費ゼロ、そして3歳から始まる無償教育、何より感動的なのは子育ての大変さを共有する社会のあり方。フランスで2人の乳幼児を育てた経験から、安心して子どもを産み、育てられる国のシステムをリポート。(新潮新書・799円)

(赤旗書評17.01.08

◆◆ひとり親支援、フランスでは 収入不安定でも手当充実・「保育学校」無償で預かり

201661日朝日新聞

「先生が日本の絵本を読んでくれたよ」。保育学校の様子を平良さん(右)に話すレオ君

(保育学校でフラメンコを踊る子どもたち。午後は運動や図工などをして過ごす=パリ市内)

 2015年の合計特殊出生率は1・46で、政府が掲げる「希望出生率1・8」にはほど遠かった。出生率が2前後まで回復したフランスは、どんな取り組みをしているのか。ひとり親でも仕事と子育てを両立しやすい支援の仕組みがうかがえる。

 パリで日本人観光客のガイド通訳をしている平良(たいら)明子さん(45)はシングルマザー。フランス人の夫は病気のため、生後5カ月だったレオ君(5)を残して他界した。

 悩んだ末、生活の基盤があったフランスに残ることにした。仕事の頻度は月によって違うため、収入は不安定。支えられたのが、子育て家庭向けの給付制度だった。

 平良さんの月収は、10万円を少し上回るぐらいだった時もある。月収約55万円以下の家庭には、子どもが3歳になるまで月約180ユーロ(約2万2千円)が支給される。ひとり親向けの手当が月約1万円、保育所の保育料補助も受けた。家賃は光熱費などを含め月約11万円だったが、低所得者向けの住宅手当が多い時で月約3万9千円あった。「生活が苦しかった時、手当があったおかげで安心して生活できた」と振り返る。

 レオ君はいま、3歳から就学前まですべての子どもを対象にした保育学校に通い、文字や数など基礎的な勉強をしたり遊んだりして過ごす。授業料は無償で、必要な場合は子どもを夕方まで預かってくれる。平良さんは仕事を続けられ、収入も安定してきた。

 ひとり親家庭の経済状況はフランスも厳しい。フランス全国家族手当金庫によると、平均年収は2012年で約173万円(約1万4千ユーロ)。日本の母子家庭の母親本人の平均年収約223万円(10年の厚生労働省調査)より少ないが、手当に加えて大学まで授業料が無償なので、低収入でも子どもを育てやすい環境ができている。

 パリ市近郊に住むシングルマザーで市役所職員のジュリ・エルブーさん(31)は結婚せずに1歳の長男を育てる。長男の父親から月数万円の生活費をもらうほか、手当も含めた月収は約26万円。「息子のために本当はフルタイムではなく週4日くらいに仕事を抑えたいが、それだけでは暮らせない。保育所に預けて働け、助かる」

◆養育費の不払い解消へ 国が立て替え・催促も

 一方、離婚した場合は養育費を支える取り組みもある。

 フランスでは、ひとり親家庭で離婚相手から支払われる養育費が月104ユーロ(約1万2千円)以下なら足りない分を国が賄う仕組みがある。立て替え払いで、国は離婚相手や勤務先へ催促して不払いを解消。4月からは、養育費が1カ月でも不払いがあれば利用でき、2年前からさかのぼって払ってもらえるようになった。

 ひとり親家族のネットワーク「ひとり親家族組合連盟」のパトリシア・オーギュスタンさん(62)は「以前は不払いが続くと、裁判を繰り返さなければならないようなこともあったが、養育費を巡る状況はよくなった」と話す。

 日本では、離婚時に養育費を取り決める義務はなく、不払いの割合が高い。厚生労働省の11年の調査によると、離婚した母子家庭で子どもの父親と養育費の取り決めをしているのは38%で、養育費を受けていたのは2割程度だった。

 ひとり親家庭などから養育費の不払いや請求の相談を年間約6千件受ける養育費相談支援センター(東京)によると、協議離婚なら養育費の支払いを規定した公正証書を作成し、調停離婚では支払いについて決めていれば不払いの際に給与の差し押さえなど強制執行を申請できる。ただ、相手の連絡先や勤務先がわからないと手続きができない。原千枝子センター長は「日本の制度は実効性が確保されておらず、先進的な国からは遅れている」と指摘する。

 岡山県立大の近藤理恵教授(フランス社会学)は「フランスも経済的に厳しいひとり親は多いが、充実した手当や無償の教育費、養育費の支援が子育てを後押ししている。ひとり親に限らず子育て世代に向けた予算をさらに増やし、養育費の請求が当事者任せという状況を見直していくべきだ」と主張している。(畑山敦子)

◆キーワード

 <フランスの子育て関連予算> 内閣府のまとめによると、フランスが2011年に家族関係に支出した割合はGDP比で2・85%(約586億ユーロ)で、日本の1・36%(約6兆3890億円)の倍以上だった。家族や障害者などの手当給付を担うフランス全国家族手当金庫の財源は、企業や自営業など事業主負担が4割程度を占めている。

◆◆フランス3歳から義務教育? 親はらくちん、給食はグルメ

朝日新聞18.05.09

拡大する 幼稚園に掲示された5月の献立。7日は、キュウリのフレンチドレッシング、ハンバーグステーキの猟師風(キノコ)ソース、有機小麦のペンネ、硬めのチーズ、有機リンゴ。おやつはチョコビスケットに牛乳だ=5月3日、パリ、疋田多揚撮影 幼稚園に掲示された5月の献立。7日は、キュウリのフレンチドレッシング、ハンバーグステーキの猟師風(キノコ)ソース、有機小麦のペンネ、硬めのチーズ、有機リンゴ。おやつはチョコビスケットに牛乳だ=5月3日、パリ、疋田多揚撮影

特派員リポート 疋田多揚(パリ支局長)

 5歳の娘がフランスの幼稚園に通うことになった。3月末に家族でパリに赴任して1カ月あまり。折しも、渡仏の翌日に大統領が「来年から幼稚園教育を義務化する」と宣言した。義務化されるフランスの幼稚園とはどんなところなのか。娘とともに探ってみた。

 初登園の日の午前8時半。娘の手を引き、5分ほど歩く。妻も6階のベランダから手を振り送り出す。娘は道中、「一緒に遊ぼうって、フランス語でなんて言うの?」などと尋ね、前向きな様子だ。

 初日は、ビーズで飾りを作って遊んだり、お絵かきをしたり。次の日は、自分の名前をアルファベットの筆記体でつづる練習をしたようで、これはなかなか苦労したらしい。

 帰宅後は「アレーット(やめて)!」など、幼稚園で聞いたらしい言葉を使ってお人形遊びをし始め、新しい環境を少しずつ受け入れている様子に安心した。だが、3日目になると疲れがたまったようで、「行きたくない」と休んでしまった。

 フランスの公立幼稚園は無料で、手続きさえすれば誰でも入園できる。外国人でもだ。

 4月中旬、住まいのパリ17区の区役所に行き、私と娘の身分証明書(パスポートとビザ)、居住証明(家賃の契約書)、それと日本の戸籍謄本と母子手帳の予防接種のページをフランス語訳したものを窓口に出したら、「あなたの娘さんの幼稚園はここですよ」と、その場で登録証をもらえた。おまけに、9月から通うことになる小学校の手続きまでしてくれた。滞在許可証さえ必要なく、幼稚園での面談もない。ずいぶんあっさりしたものだった。

 日本の幼稚園との違いは、親の負担がずいぶん軽いことだ。水曜日こそ午前中までの保育だけれど、他の平日は日によって午後3時から4時半まで預かってくれる。音楽やダンスといった「課外活動」を放課後にすることもでき、夕方まで預けることもできる。

 午前保育の水曜日も含めて給食があり、朝にお弁当を作る必要がない。給食は主菜、付け合わせ野菜、乳製品を含み、かつ4皿以上出さなければいけないなどと、政令で定められている。初日の献立は「マグロのパイ、チーズスプレッド(パンに塗って食べるペースト状のチーズ)、有機リンゴのコンポート(シロップ煮)」などだった。

 給食には必ずデザートがつき、午後にはおやつの時間もある。バニラクリームがついた甘いパンなどが出るようだ。おやつは、こちらでは習慣化されているようで、「子どもは1日4食たべる」とも言うそうだ。さすがグルメの国と言うべきか。

 地域によっては、ムスリムなどの子どものために、豚肉を使わない献立も用意されている。給食費は、家庭の収入によって10段階に分かれていて、1食あたり0.13ユーロ(17円)から、最大7ユーロ(約915円)までと幅広い。

 3月まで娘が通っていた千葉市内の幼稚園では、おもちつきなどのイベントでの親の当番や、クリスマス会で子どもにわたすプレゼントの準備など、保護者も保育に参加し、「ママ友」的なつながりもあった。だが、ここでは皆無。子どもを朝送り出せば夕方までずっと任せていられるので、親はかなり自由になれる。

 フランスの女性の労働参加率は67.9%(2016年)で、日本の50.3%(17年)より高め。ちなみに男性は75.6%だ。フランスの家庭では共働きが多く、働く親には助かる仕組みと言えそうだ。就園率はやはり高く、3歳児の97%が通っている。

     ◇

 今年3月末、マクロン大統領は「幼稚園教育の義務化」を打ち出した。19年から、義務教育の年齢を6歳から3歳へと引き下げるという。ちょうど、小学校の入学年齢から幼稚園の入園にあたる。すでに大半が通っているのに、いったいなぜなのか。

 ルモンド紙によると、マクロン氏は「貧困と闘うためのアクション」の一環だと説明した。「午前中だけで子どもを帰宅させる家庭もある。幼稚園はオプションではない」と語ったという。幼稚園できちんと通園の習慣を身につけ、読み書きの訓練を始め、小学校や中学校で授業についていけるようにする。そうしてフランス社会に取り込むことで、貧富の格差を防ぐという狙いのようだ。

 ただ、首をかしげる専門家もいる。パリのデカルト大のクロード・ルリーブル名誉教授(教育史)は「そもそも、子どもを幼稚園に行かせれば親は働く機会が生まれて稼げるのだから、経済的理由で幼稚園に通わせない家庭はそう多くない」とみる。

 同紙によると、幼稚園に通っていない子どもは2万人あまり。就園率が低いのは、インド洋などの島々にフランスが持つ海外県や海外領土で、7割に満たないところもある。全体の就園率が97%だから、本土ではほぼすべての子どもが通っていることになる。

 ルリーブル氏は「海外領土では、子どもは母親が家庭で育てるべきだという価値観があり、むしろ文化的な理由で就園率が低いのではないか。就園率を上げたいなら、先生の数や質を上げた方がいい」と話す。

     ◇

 「自宅教育」をあえて選ぶ家庭もある。パリ郊外のサンドニに暮らすナジバさん(36)もその一人。6歳のジネブちゃん、2歳のアシヤちゃん、情報技術者の夫の4人家族だ。

 ジネブちゃんは本来は小学校に通っている年齢だが、元高校数学教師のナジバさんが、自宅で「勉強」を手助けしている。幼稚園にも通わなかった。名誉教授のルリーブルさんによると、フランスの義務教育は、あくまで「教育」が義務なのであって、「登校」自体は義務でないそうだ。

 ナジバさんは「自宅で教える方が子どもの自由を尊重できる」と話す。たとえば、朝食に用意したシリアルの箱の「原材料名」が読めない、とジネブちゃんに言われたら、つづりと発音、意味を教える。「エレベーターってどうやって動くの?」と聞かれれば、ナジバさんが調べて、自宅のホワイトボードに簡単な設計図を描いて仕組みを説明するのだという。

 「幼稚園だと、みんなが決まった時間に、同じ遊びをすることになる。おなかがすいても給食の時間まで食べられないし、トイレの時間が決まっている幼稚園もある。子どもが自分のリズムで生活し、学べ、その成長を親がじかに感じられる。その生活が私は気に入っているんです」

 お出かけも好きなときにできるし、祖父母にも好きなときに会える。パリには博物館がたくさんあり、子どもの好奇心を満たすのに困ることはないという。

 高校教員だった頃、「本当に基礎的な学力がなく、私にはどうにも手助けできなかった」というクラスを受け持った体験がある。黒板にものを投げつける生徒もいて、「私も威圧的になるしかなく、そうした教育が耐えきれなくて仕事を辞めた」という。

 最後に、顔を写す写真を撮らせてもらえないかとナジバさんに尋ねると、こう話して丁寧に断られた。

 「私はムスリム。社会の一部には、ムスリムだからフランス社会に適応したくなくて幼稚園に通わせないんだ、と誤解している人もいる。そうした偏見の対象になりたくないから」

     ◇

 子どもは、何のために学校に通うのだろう。親を自由にするためか、それとも子どもの楽しみのためか、あるいは社会へ適応させるためか。

 渡仏してからの1カ月、妻は8カ月の乳飲み子を抱え、私は仕事。日中誰にも構われない娘は、新生活のストレスも重なって、よく金切り声で泣き叫ぶようになった。娘が幼稚園に通ってくれて一番助かったのは私だ。

 一方、国からすれば、子どもが規律を身につけ、将来職について税金を払い、社会の役に立つ「市民」を育てるという機能も持たせたいのだろう。幼稚園は、親の都合や社会の要請、そして自身の楽しみといった要素が交差する場所なのだと改めて気づかされた。

 親が子どもと過ごせる時間は案外短いものだとも言われる。楽しければ通えばいいし、苦痛を感じてまで無理して通うものでもない。自分のために通っているのだから。子どもが休みたかったら、せめてゆっくり休ませてあげよう。できれば私も。

 疋田多揚(ひきた・さわあき) パリ支局長。2006年入社。三重、岩手の総局、政治部などで勤務。8カ月の長男と5歳の娘、妻の4人家族。37歳。

◆◆(人口減にっぽん 海外から考える:上)子だくさん、厚い支援 高い出生率、フランス

朝日新聞16.05.03

 2月に公表された2015年の国勢調査で、日本の人口は5年前より100万人近く減った。「保育園落ちた」の匿名ブログ問題は、子を産み育てにくい日本の状況を改めて浮き彫りにした。少子化・人口減に歯止めをかける有効な手立てはあるのか。先進国では高い出生率を維持するフランスを訪ねた。

◆保育ママ31万人/税優遇

 パリ郊外に住む会社員、ギャラト・ビルジニーさん(35)は、小学2年の長男を育てているシングルマザーだ。長男が小さいときは、託児所に空きがなく、家で子どもを預かる「保育ママ」に頼んだ。「充実した保育サービスがなければ、仕事は続けられなかった」

 フランスでも3歳以下の子ども約240万人のうち、託児所に入るのは1割に過ぎない。それをカバーするのが保育ママの存在だ。国内に31万人いる。

 「子どもたちの成長をみるのは、生きがい」。パリ市東部の自宅マンションで、幼児3人を預かる保育ママのフローランス・キュイサールさん(61)は話す。32年間で162人の面倒をみてきた。

 保育サービスに加え、給付面も手厚い。フランスでは、子育てする家庭向けの代表的な家族手当は、2人以上の子どもがいる家族だと、2人目に対し月約130ユーロ(約1万6千円)が出る。子どもが14歳になると加算され、20歳まで支給される。子が3人以上になるとさらに手当が増える。保育ママを利用して働く親には補助として手当も支給され、家族が多いほど所得税が優遇される制度もある。

 フランスでは、家族手当が医療や年金と並ぶ社会保障の柱のひとつだ。7千超の団体の71万家族が所属する非営利組織「全国家族協会連合」や、政府や労組、有識者らでつくる首相直属の「家族高等評議会」など、必要な家族政策を実現させる「政治力」もフランス特有のものだ。

 家族手当を支給する全国家族手当金庫の担当者は「子育て支援は、将来年金を払ってくれる人の確保につながる」と話す。フランスが現在の2程度の出生率を維持すると、2060年の総人口のうち65歳以上の割合は3割以下に抑えられ、推計で約4割に達する日本と大きな差が出る。

 フランスでは、2度の大戦で隣国ドイツと戦った教訓として出産奨励策が戦後に本格化した。70年代以降は、女性の社会進出を支援することが家族政策の大きな目的になっている。

 フランスの出生率は70年代半ばに2を割り込み、日本を下回る時期もあった。政策効果が表れ、1・6台で底を打ったのは90年代。2008年に「2」を回復するまで34年かかった。

◆不景気、手当削減も

 そのフランスの家族政策も試練の時を迎えている。今年1月に公表された15年の出生率(速報値)は1・96と、10年ぶりの低水準。低下を招いたとみられているのが不景気と緊縮財政だ。失業率は10%と高い水準が続く。財政赤字を減らすため、家族手当の削減も始まっている。これまで子どもの数に応じて同額支給されていたが、昨夏から所得制限が設けられ、年収約6万7千ユーロを超える世帯は手当が半額、約8万9千ユーロ超の世帯は4分の1となった。

 仏西部ナント郊外に住む会社員ナデージュ・ケディラックさん(40)は、共働きの夫と子ども2人と暮らすが、昨年、家族手当を月約200ユーロから約50ユーロに減らされた。「税金はたくさんとられているのに、どうして手当を減らされるのか」と不満げだ。

 リヨン第3大学のジャック・ビショ名誉教授は「老人が多くなり年金は削りにくいが、家族手当は減らしやすい。富裕層の出生率には手当削減の影響が出るだろう」と指摘する。

<視点>政党は財源の具体像示せ

 「保育園落ちた日本死ね!!!」のブログが共感を呼んだ日本の状況をフランスの母親たちに伝えると、「考えられない。保育ママもベビーシッターもいる」との声が返ってきた。

 日本経済研究センターによると、フランスでは、子育ての負担よりも、手当や税制優遇など給付が多く、年収3万ユーロの家庭で第3子まで育て上げると「給付超」の額は計約3900万円に達する。家族政策への財政支出(国内総生産比)は日本の1%台に対しフランスは3%近い。

 同センターの試算では、日本が出生率2・1と仏並みの手当や保育サービスを目指すなら年間13兆円の財源が必要。消費税率を5%幅上げ、すべて子育てに回す計算だ。増税に頼らず社会保障を組み替えるなら、医療費の窓口負担増など、社会保障費のうち高齢者向けの割合を8割台から7割台に減らす必要がある。

 ブログ問題後、与野党は競うように子育て支援の充実を訴える。その財源を増税で賄うのか、高齢者へのサービス削減で賄うのか。本気で取り組むなら「負担」の具体像を示すことこそ政治の仕事ではないだろうか。(編集委員・堀篭俊材)

 ◇人口問題と向き合う海外の取り組みを通じて、日本の人口政策を3回にわたって考えます。明日以降は、移民を積極的に受け入れるドイツ、日本よりも急ピッチで少子化が進む韓国を取り上げます。

◆◆(人口減にっぽん 海外から考える:下)政府躍起でも出生率低迷 急速に少子高齢化、韓国は

朝日新聞16.05.05

 韓国中部、政府の省庁が集まる世宗市。その一角にある保健福祉省のロビーに入ると、こんな文句が目に飛び込んできた。

 「子どもはいいね 2人(いること)がいいね」。「低出産(少子化)」対策として韓国政府がつくったスローガンだ。

 1970年代初めまで4を超えていた韓国の出生率は急速に下がり、2005年には世界的にも最低水準の「1・08」まで低下した。17年には生産年齢人口(15~64歳)が減少に転じる見通しだ。日本を上回るペースで少子高齢化が進むとみられている。

 育児と仕事の両立の難しさや晩婚化、結婚観の変化……。少子化が進む理由は単純ではないが、危機感を募らせた政府はこの10年ほど、少子化対策を矢継ぎ早に打ち出してきた。

 国公立などの保育所を増やし、13年以降、所得を問わず5歳児まで無償で預けられるようにした。育児休業時の給付水準を引き上げたほか、一定規模の事業場には「職場保育所」の設置も義務づけた。だが、出生率は今も日本(14年=1・42)より低い1・2前後にとどまる。2歳の娘がいる30代の会社員女性は「現状ではじゃあ2人目も、とはとてもならないですね」。

 職場保育所は大企業中心で、育児休業も代替人員の不足などで取りにくい雰囲気が根強く残る。無償保育にも「仕事をしていなくても預ける人が増え、むしろ競争率が高まった」との不満が出ている。

◆重い負担、出産断念

 「両立の難しさ」以前に、経済的な負担などから結婚や出産に至らない人が少なくない。

 映像制作会社で非正規職として働くソウル在住の男性(27)には交際中の女性がいる。「結婚しないというより『できない』が正しい。とにかく安定した仕事がないことには」と話す。

 年収は2千万ウォン(約200万円)ほど。両親と同居して何とか暮らしている。いずれケーブルテレビの会社などで正社員になりたいと願うが、確たる見通しはない。

 「3放世代」。恋愛、結婚、出産を放棄せざるを得ない韓国の若者はこうも呼ばれる。15~29歳の失業率は政府統計で10%ほど。実態はもっと高いとされる。正社員の座は狭く、非正規職の賃金は正社員の半分ほどしかない。

 韓国はサムスンなど一握りの財閥が経済成長を支える。90年代後半以降は雇用の規制緩和も進んだ。大企業や公営企業、官公庁などで働く一部の人をのぞき、若者ら多くの働き手が不安定な生活を強いられる格差問題が深刻になった。正社員でも将来の保障があるわけではなく、高い住宅費や子どもにかける教育費などの負担が重くのしかかる。

 ソウルの会社でデザインの仕事を担う女性(39)は7~8年前、自営業の夫と話し合って子どもは産まないと決めた。夫婦で年収は6千万ウォンほどだが、「今後も続く保障はなく、老後の備えで精いっぱい。政府は子どもを産めといいつつ老後の面倒はみない。少子化もそれぞれの合理的選択の結果でしょう」と話す。

 韓国保健社会研究院の李三植博士は「結婚した人の育児支援に力を入れてきたが、それだけでは足りない」と指摘する。

 政府が今年から進める少子化対策の「第3次低出産基本計画」はこうした指摘も踏まえ、若者向けの雇用創出や、新婚家庭への賃貸住宅の供給を増やす、といったメニューも並べた。保健福祉省人口政策課の康浚書記官は「簡単ではないものの、青年層の雇用や住宅といった経済の構造的問題に取り組むことに重点を置いた」と話す。

 ただ、韓国経済・社会のありようが一朝一夕に変わることは難しい。政府は出生率を20年に1・5まで高める目標を掲げるが、実現は厳しいとの見方も多い。

<視点>雇用対策・格差是正こそ急務

 子どもを持つかどうかは個人の選択の問題だ。ただ将来に対する「希望」や暮らしへの「安心」がなければ、そもそも選択肢は大きく狭まってしまう。韓国はその現実に直面してきた。

 育児休業を取りやすくしたり、保育所を利用しやすくしたりする政策は重要だが、「生まれた子と親」への支援だけでは足りない。

 「結婚したいし、子どもも欲しいけど、今の自分には無理」という嘆きは、韓国に駐在して取材していた数年前にもよく聞いた。雇用不安に直面し、格差に苦しむ若者から目をそらしたままでは、いくら政府が熱心に対策を打ち出しても効果は限られる。

 日本も今や非正規職の働き手が4割に達し、生活苦や将来不安から結婚・出産をためらう人たちが少なくない。不安を和らげ、格差是正に取り組むことこそ、先送りできない「対策」ではないだろうか。(稲田清英)

◆◆これでいいのか日本の少子化対策!産む国フランスに学ぶ7つの政策

フランス, 仏ニュースから 海外情報 | 2013116 

http://www.madameriri.com/2013/01/16/これでいいのか日本の少子化対策!産む国フランス

米国、フランス、韓国、スウェーデン、日本のおよそ1000人の男女を対象として行った内閣府の「少子化に関する国際意識調査」によると、「子供を増やしたくない」と答えた日本人の割合は53.1%だった。他の4カ国と比較して最も多いという。「子供を増やしたい」と答えた割合が最も少ないのも日本であった。

これらの調査からもわかるように、もはや現代の日本人は「子どもが欲しい」という欲求すらないようだ。子ども手当の支給のような小手先だけの対策では、到底日本の少子化問題は解決しそうにない。このまま出生数、子どもの数が減少し続ければ、国の生産力はますます減退し、老人を支えるための医療費がかさむ借金国家になりかねない。未来の若者が払う年金だけでは賄えないようになり、もしかしたら近い将来、他の先進国と同様に移民を奨励する国家になってしまうかもしれない。

忘れがちなニッポンの「少子化問題」だが、はっきり言ってかなりヤバイ状態である。そんな少子高齢化社会の日本に対して、世界で最も少子化対策の進んだ国と言われているフランスの人はよくこのようなことを言う。

「日本人は少子化問題をこのままでいいと思っているの?」

もちろんこのままでいいわけがない。日本政府だって、少子化対策を担当する国務大臣を置いてみたり、子ども手当を支給してみたり、それなりの対応をしている。しかし、そう答えてみてもフランス人たちの反応は「そんな場当たり的な対策で出生率が上がるわけがない」というものだ。

確かに私たち日本人は少子化問題に対する危惧感があまりないのかもしれない。このまま若者が減り続けたらヤバいということはわかっているが、だからといって今の日本社会の何かが変わるわけでもなく、「そのうち解決すること」として後回しにしすぎていないだろうか。

後回しにする日本政府とは違い、フランス政府は1995年に出生率が過去最低の1.65人に低下した時点で、各種の福祉制度や出産・育児優遇の税制を整備した。この政策の甲斐あって、フランスの出生率は2006年に欧州最高水準の2.01人にまで回復した。2.01人というのは、先進国内では突出した数字である。

筆者もフランスで生活して4年になるが、なるほど確かにフランスは日本に比べて、子育てのしやすいファミリー向け社会だと思う。

それでは、世界でも稀な少子化対策が成功したフランスから日本が学べることとは何だろうか。何度も言うようだが、子どもがいる家庭にちょっとお金を支給するようなお粗末な対策では日本の子どもは増えない。それこそ「税金の無駄遣い」だと思う。その場しのぎの対策ではなく、日本政府が、日本社会が、日本人の一人一人が「子育て奨励」に意識を変えていかないことにはこの国の経済力は衰退していく一方であろう。

そこで今回は、子育て奨励社会フランスに学ぶ「日本の少子化問題解決策」の例を7パターン紹介する。あなたはどんな対策が効果的だと思うだろうか。

三人っ子政策

人口規制政策で有名なものとして中国の「一人っ子政策」があるが、これは第二子以降を出生した場合、罰金を支払わなければならないというものだった。日本ではこれと反対のことをしてみればどうだろうか。罰金というのではなく、子どもが3人いる場合は子どもが2人いる場合よりも経済的負担が少なくなるように国が援助をする。これと似たことはフランスでも行っている。収入に関係なく支給される家族手当だ。子供一人の家庭は対象にならないが、子供二人の家庭は、毎月約117ユーロ(16380円)を国から受け取る。子供が十一歳以上になると、額は加算され、二十歳まで支給される。三人目からは一人に付き約150ユーロ(2万千円)と給付額を倍以上に増やす。とりわけ、子供三人以上の家族に対する優遇措置は、国鉄、地下鉄の運賃割引、美術館、ホテルなどの文化・レジャー施設の料金割引など、生活のすみずみに及ぶ。子どもが3人以上の家庭は引っ越しする際にも、補助されることがある。このように子どもを3人以上産んだ方が1人を育てるよりも経済的に得をするようなシステムをつくってみてはどうだろうか。

産休期間の延長

フランスでは出産後も仕事を続ける女性の割合が高く、五十歳未満の女性の約八割が働いており、これは日本人女性とフランス人女性の大きな違いの1つである。つまりフランスは出産&子育てしながらでも仕事ができるような社会なのだ。その違いの一つは産休期間にある。日本での産休は産前6週産後8週だが、フランスでは子供が三歳になるまで両親の一方が休職することができる。国はこの間、給与水準に応じて月額最高約512ユーロ(71680円)の休業手当を支給する。そしてもちろん企業は、復職後、以前と同等の地位を保障しなければならない。また、フランスでは3歳以上だと無償で子どもを託すことができる。こうした社会制度が女性の「働きながら育てたい」という願望を可能としているのだ。

子ども手当の充実

日本では去年廃止されてしまった子ども手当であるが、フランスの出産や育児に対する公的な助成は、日本よりはるかに多く、キメ細やかである。

妊娠・出産手当(妊娠5ヶ月~出産)・・・すべての費用について保険適用 

乳幼児手当(妊娠5ヶ月~生後3歳)・・・子ども1人あたり約23,000円/月 

家族手当・・・子ども2人で約16,000円/月。1人増す毎に約20600円/月追加(20歳までの支給) 

家族手当補足・・・子ども3人以上の1人ごとに約15,000円/月 

新学期手当(小学生~)・・・約29,000円/年 

産後の母親の運動療法・・・保険全額支給 

双子もしくは子ども3人以上など・・・家事代行格安派遣(1~2度/週) 

片親手当・・・子ども1人で約76,000円、1人増えるごとに約19,000円/月 

これに比べると、日本の育児手当は月額○○円といった具合にかなりシンプルな提示の仕方である。ただ支給するのではなく、フランスの例のように細かく支給額を指定して、子どもがいない独身者にも納得がいく適正額を決定することが大切だと思う。

高校までの国公立教育費を無料化

フランスではこうした子育て支援策とは別に、公立であれば、高校までの学費も無料だ。日本と比べ、教育費の負担がはるかに軽く、子供を産み育てやすい環境にあることは間違いない。国民生活白書によれば日本の子供一人に対し1300万円の養育費がかかるという。教育費が高いため、結婚した場合も経済的理由により子供が生まれたときの十分な養育費が確保できる見通しがたたないと考え、出産を控える傾向があるという。経済産業研究所の藤原美貴子は日本人官僚に対するセミナーで「今の日本において、子育ては非常に高くつきます。ですから、子供を作るか、夏用の別荘を買うか、最新モデルのベンツを買うか、という選択を迫られているようなものです。」と説明している。

不妊治療費を完全に無料化

日本における少子化の原因としては、未婚化や晩婚化などに伴う晩産化や無産化が挙げられている。厚生労働省が発表したデータによると、平均初婚年齢は、昭和50年には女性で24.7歳、男性で27.0歳であったが、平成12年には女性で27.0歳、男性で28.8歳と、特に女性を中心に晩婚化が進んでいることが分かる。女性の社会進出により出生率が低下したとの意見があるが、女性の地位が向上したのは何も日本だけでの現象ではない。西欧諸国に比べると、日本は未だ女性の地位は低いようにさえ感じる。さも女性の社会進出が「悪」だというような意見も多いが、女性の高学歴化&高収入化をストップさせるような政策を考えるのはナンセンスである。これからもキャリアアップをはかる女性が増えると見越したうえでの対策をとることが必要不可欠だ。そのためには「産みたい人」の経済的負担を軽くするべきである。晩産化にともなって、不妊治療を受ける方が増えているというが、この不妊治療にかかる医療費を完全に無料にしてみたらどうだろうか。私の友人で、フランス人と結婚した35歳の女性は、日本では不妊治療費がかかりすぎるためフランスに移住してきたそうだ。彼女曰く、不妊治療はフランスと日本では金額的に雲泥の差があるという。なかには5年間のボーナスをすべて不妊治療に使ったという人もいるそうだ。

労働者の権利を強化

日本は「働き過ぎ」で知られる国でもある。しかし、厳しい日本の社会や労働条件が少子化につながっているのではないだろうか。何年か前に仏ドヴィルパン内閣がCPEという、正規採用にするまで2年間、特別な理由なしに解雇できるという法案を通そうとして、学生や労働者の大反対にあい、失敗したことがあった。テレビのニュースである女性が「採用されたとたんに妊娠を理由に解雇されても文句が言えないので困る」と語っていたのが印象的だった。つまり、日本の企業や労働市場が子育てを奨励できる環境と言うのは、今の日本よりも労働者の権利が強化された社会でなくてはならないということである。これからは 仕事ばかりではなく、プライベートの時間を充実させることに力を注ぐべきではないだろうか。長期休暇を増やすことで、旅行業界&観光業界が潤い、家族の時間が持てる。労働者の権利を強化し、日本人が「余暇を満喫する」社会へ変化してみるのも悪くないと思う。

出産&子育てドキュメンタリー番組を放送する

フランスでは毎週「私の出産ストーリー」というドキュメンタリー番組が放送されている。

番組視聴者の出産を取材することによって、生命が誕生する喜びや感動を伝えるものだ。今の日本にはこういった「単純に出産や子育ての素晴らしさを伝えるマスコミ」が少ないように思う。テレビのニュースやバラエティ番組での子どもや子育てに関する話題と言えば、「児童虐待」や「育児ノイローゼ」、「学校のいじめ」や「ママ友PTAいじめ」、「モンスターペアレンツ」など、マイナスなイメージを連想する出来事や事件を多く報道しているように思う。事実を伝えることも大切であるが、子育てにマイナスのイメージをもってしまうような内容のものばかりを放送するのは良くないと思う。さも子育てが「あらゆる問題の元凶」かのような植え付けはやめたほうがいい。「日本が少子化だから」と言う理由で子どもを生む女性なんていない。ほしいから産むのだ。まずは女性が「子どもを産みたい」と思う社会に変えていくことが先決であると思う。

◆◆フランスの高い出生率の背景

井上伸=ジャニック・マーニュさんインタビューなど

14.12.08

内閣府のサイトにアップされている「各国の家族関係社会支出の対GDP比の比較」です。

見て分かるように、日本の家族関係社会支出はきわめて少なく、内閣府自身も「日本の少子化社会対策の公費負担をみると、GDPに占める割合は1%程度であり、ヨーロッパ諸国と比較して低い水準にある。GDPに占める家族関係社会支出の割合が大きいスウェーデン、イギリス、フランスなどの国では、合計特殊出生率の回復が見られる」と指摘しているのです。

すでに過去エントリーで指摘していますが、世界一低い日本の教育への公的支出や、女性差別賃金をさらに半減する世界最悪の母親ペナルティ賃金で安倍政権が世界最低女性賃金を活用しようとしていること、年々増加するマタハラ・出産退職で女性が働き続けながら安心して子どもを産み育てられない日本社会をいっそう悪い方向に進めようとしている安倍自民党政権によって、少子化問題が改善の方向にむかうわけがありません。それは、内閣府が以下のように指摘している「フランスの高い出生率を支えるもの」とアベノミクスの方向が真逆であることをみても明らかだと思います。

【フランスの高い出生率を支えるもの】

◆高い出産期女性の労働力率(80%)と高い合計特殊出生率(1.89

◆手厚くきめ細かい家族手当

◆第2子以降には所得制限なしで20歳になる直前まで家族手当を給付

◆子どもが3歳になるまで育児休業または労働時間短縮が認められ、第2子以降の育児休業手当は3歳まで受給可能

◆保育ママ、ベビーシッターの利用に関する補助金も利用可能

◆子どもをもつ家庭に有利な所得税制

◆多様な保育サービス

35時間労働制で男女とも短い労働時間

◆同棲による婚外子が一般化

5年前とちょっと古い話で恐縮ですが、昔ブログに書いた記事を思い出しましたので追記しておきます。私が所属する労働総研のシンポジウムでの共立女子大学教授のジャニック・マーニュさんによる「子育てしたくなるフランス社会、子育てが困難な日本社会」という指摘です。

これまでフランスは、日本とくらべると、様々な点で子どもを生み育てたくなる社会をつくってきたことは確かであると思います。

たとえば、フランスでは家族そろって夕食をとることは当たり前の社会になっています。また、日曜日は家族で出かけることも当たり前です。とくに子どもが小さいときは家族で出かけることを大事にしています。

私が日本に来て驚いたのは、多くのお父さんが夜遅くまで働いていて、家に帰って来ないことです。

いま、フランスでは日曜日に仕事をするかどうかで熱い議論がおきています。サルコジ政権が、日本のようにフランス人も日曜日に仕事をすべきだと主張しているのです。これまでのフランス人にとって日曜日は家族のための日でした。日曜日にお店などをやっているのを見ると、そのお店で働いている人は家族とゆっくりできないではないかと多くのフランス人は思うのです。ドイツやスイスでも日曜日はほとんど働きませんが、フランス人も「日曜日は家族のための時間」なのです。

フランスでは20歳までの子どもに毎月「子ども手当」が支給されます。「子ども手当」は、子ども2人で1万6千円です。子ども3人で3万7千円になり、4人以上になると1人増えるごとに2万円ずつプラスされ、子ども4人で5万7千円になります。

ベーシックな「子ども手当」に加えて、11歳から16歳未満の子どもには毎月4,300円がプラスされ、16歳から20歳まで毎月8千円がプラスして支給されます。この「子ども手当」は、親が働いていても働いていなくても、収入なども一切関係なく、すべての人に支給されます。また、親が育児休暇を取ると、親に対しても国から手当が出ますし、仕事を続ける場合でもベビーシッターなどに対するお金が出ます。この金額は収入や家族構成によって様々ですが、生活に支障が出ない金額が国から支出されます。ベビーシッターの紹介なども行政が責任を持って行っています。

学校は、小学校から大学まで基本的に無料です。フランスでは90%が公立校ですので、多くの人が無料になっています。ですから、親の給料がたとえ低くくても生活に困ることはありません。私の子どもはフランスの大学に通ったのですが、1年間で親の負担は3万円だけでした。その3万円も学生のための保険に入れるお金と図書館とスポーツセンターを使うためのお金でした。日本では考えられないことです。

フランスの子ども手当が、子ども2人で1万6千円では、ちょっと足らないんじゃないかなと思った方もいらっしゃると思いますが、小学校から大学まで無料ですから、日本での感覚と大きな違いがあると思います。

フランスの小学校から高校までは、1カ月半勉強して、そのあと2週間ぐらい休みがあって、1年間で4カ月間の休みがあります。子どもに1年間で4カ月休みがあると、両親が働いている場合、とくに子どもがまだ小さい場合は、ちょっと困ることがあります。そのために、日本でいえば学童保育のようなところがフランスにもあります。日本の学童保育は小学3年生までのところが多いですが、フランスの学童保育は12歳まで大丈夫です。親の収入で学童保育の保育料は違うのですが、収入が少なければ無料になります。フランスの学童保育は学校終了時間から午後7時までと、フランスの学校は水曜日が休みなので、水曜日は日中学童保育をやっています。そして、日本では親が仕事をしていないと、学童保育にあずけることができない場合が多いですが、フランスの学童保育は、親が仕事をしていなくても親が失業していてもあずけることが可能です。

また、夏休みの場合でも、親が失業していて親は夏休みにどこにも行くことができなくても、子どもには海や山に行かせたいという場合、サマーキャンプがあります。日本での子どものサマーキャンプのイメージは3日間とか長くて1週間ぐらいかと思いますが、フランスのサマーキャンプは1カ月間です。私の子どもも12歳のときにフランスのサマーキャンプに参加しました。サマーキャンプの参加費は、私は日本で住んでいましたので、参加費が一番高いケースだったのですが、それでも4万円でした。1カ月間の食費や宿泊費、演劇やスポーツ、様々な遊びなども企画され、すべて含んでの参加費が4万円でした。これは親が失業している場合でもサマーキャンプに参加できます。

こうした「子ども手当」や、学校無料化などの財源は、フランスの大企業が税金を多く負担しています。いまサルコジ政権は大企業のそうした税金を無くそうとしていますので、フランス国民による運動が大切になっています。

【共立女子大学教授のジャニック・マーニュさん談、文責=井上伸】

◆◆フランス女性はなぜ仕事を続けられるのか=「母親の仕事」がやたら多い日本と大違い

国末 則子 (フリーライター)

東洋経済オンライン20150429

フランスで暮らしていたとき、何より衝撃を受けたのは、現地校に通わせた子どもの同級生の母親がほぼ全員、仕事を持っていることだった。女性の就業率が85%のフランスでは、働く母親はごく普通の存在だ。仕事と子育ての両立をどうやり繰りしているのだろうか。2000年代に6年半、家族でパリに住み経験したことなどから、背景を探ってみた。

◆労働時間が短い

まずひとつ目に、仕事をしていても家族と過ごす時間が十分取れる仕組みが挙げられる。フランスの法定労働時間は週35時間、年間の法定有給休暇は5週間(日本は週40時間、有給休暇は最高で20日)。残業もほとんどないうえ、仕事とプライベートをしっかり分ける習慣が定着しているので、終業時刻になればすぐ帰宅できる。 

◆家事に大活躍、妻をリスペクトする夫

ふたつ目は、夫が育児や家事に積極的に取り組んでいること。労働者に優しい制度が浸透しているので、男性も育児や家事にかかわりやすいともいえる。フランスでは、小学校を卒業するまで子どもの通学に保護者が付き添うが、スーツ姿の父親が送迎する姿は当たり前の光景だ。週末の公園は、子どもを遊ばせる父親でいっぱい。幼稚園や小学校の保護者会は午後6時からなので、父親の参加者も多い。母親が一人で子育てを背負わなくてもよい。

私自身、そんな男性の活躍ぶりをつぶさに見る機会があった。フランス西部に住む、共働きで3人の子どもがいるフランス人宅に週末滞在したときのことだ。

一家でいちばん早起きだったのは、父親のジョン(仮名)。焼き立てのクロワッサンをパン屋に買いに行き、カフェオレを用意してくれた。朝食後も後片付け、食料品や日用品の買い出し、室内の掃除、庭の手入れ、洗濯物にアイロンをかけるなど、目まぐるしく働いている。しかも、妻の指示に従って動いているのではなく、自主的にしているのだ。料理もうまい。夕食にはお手製の「ブッフブルギニョン」(牛肉の煮込み)とチョコレートムースをふるまってくれた。どちらも手間のかかる料理だ。「作るの、大変じゃなかった?」と尋ねると、ジョンは「家族や友達のために料理するのは、僕の喜びなんだよ」。

さらに「妻はとても優秀で職場で責任のある仕事をしている」と、自分の能力を発揮し、社会に貢献する妻をたたえていた。家事を担うことで妻の負担を減らし、妻の仕事を側面から応援していた。

◆母親の負担が格段に少ないこと

仕事と子育ての両立を容易にしている背景の3つ目は、日本と比べて母親の負担が格段に少ないことである。

フランス人女性は「母親としてこうしなければ」というプレッシャーから解放されているように見える。たとえば、フランスの赤ちゃんは、生後数週間で自分1人の部屋で眠るようになる。幼稚園ぐらいまでは川の字になって眠る、という日本人の常識が頭にこびりついていた私は、友人のマリー(仮名)宅で実際に目にしたときは驚いた。万が一の事故とか、突然死とか心配じゃないのだろうか。

マリーは「泣いたら聞こえるから。そうしたら部屋に行って、おむつを替えたり母乳を上げたりすればいいのよ」とあっさり。なるほど、そう言われてみればその通りだ。夜の間だけでも赤ちゃんから解放されれば、母親は気が楽だし、夫婦だけの時間も持つことができる。

マリーは母乳で育てていたが、「母乳」にこだわっている母親は少ないという。むしろ、「胸の形が悪くなるから」と、早めに母乳をやめる人が多いそうだ。離乳食も手作りにこだわらず、瓶詰めなどを利用する。スーパーの離乳食売り場は日本以上に充実していた。

◆幼稚園や学校からの指示や決まりは少ない

日本人は決まりを重視し、何事も「手抜きをしない」ことを美徳とする傾向がある。フランス人は手抜きができるところでは、手を抜いても構わないと考える。親の務めも合理的に果たそうとする。この合理主義は、幼稚園や小学校でも発揮されている。決まりが少ないので、「母親の仕事」が少ないのだ。

フランスの幼稚園では、入園準備がほとんどいらない。証明写真3枚と市販のスモックを用意するぐらいだった。日本の幼稚園では、昼食の際にテーブルに敷くランチョンマットやマットを入れる袋、お弁当を入れる袋、手提げ袋、衣服が汚れた場合の着替えを入れる袋などを手作りしなければならなかった。

制服はないので、子どもは私服を着て「手ぶら」で登園する。「ハンカチとティッシュを持ってくるように」という指示さえもない。日本の幼稚園だと、制服がなくても「胸にハンカチを安全ピンで留める」とか、「帽子をかぶらせる」とか、朝の支度がややこしい。わが家では、ハンカチだけは持たせたのだが、ティッシュは園に置いてあるものを使えば用が足りたようだ。朝、子どもにあれこれ持たせなくていいというのは、実に楽だ。

昼食は給食だったが、ランチョンマットなどは敷かなかった。子どもが衣服を汚した場合には、園で常備しているリサイクルの服に着替えさせてくれた。自前の着替えを園に預けたりしなくてよいのは助かった。

小学校でも「母親の仕事」は少ない。入学式、卒業式、運動会はなかったし、授業参観もなかった。保護者会は年2回程度。緊急連絡網もない。PTAの役員も大人数を選ぶ必要はなく、ボランティア精神旺盛な数人が引き受ければ事足りるものだった。

◆学校も共働きを前提に

子どもが学校でどう過ごしているのか、その様子を実際に見る機会がないのは困るかと思ったが、そうでもない。下校時には担任が校舎の出入り口まで子どもを連れてくるので、迎えに来た親は学校での様子を尋ねることができる。保護者面談もいつでも受け付けてくれる。よくよく考えてみれば、行事の際に子どもの姿を見ても、問題解決にはつながらないのだ。

学校行事のために有給休暇を取らなくてよいフランス人は、仕事に集中することもできるし、自分のために有休を使うこともできる。そもそも学校側も、共働きを前提に、保護者に対応している。日本の小学校では、23日前に「なわとびを持ってきてください」などと指示され、慌てることがあった。フランスの小学校では、各家庭が常備していないものを持参させる場合は、10日から2週間くらいの猶予をくれた。日にちに余裕があれば、共働きの家庭もゆっくり準備することができる。

◆社交やバカンスを楽しむ余裕もある

(ベビーカーを押しながら美術館で作品を鑑賞する女性。育児と仕事だけではない、バランスのよさがうかがわれる)

フランス人女性は、仕事や育児から気分転換し、生活を楽しむことにも熱心だ。週末には親しい友人を自宅へ招いて、おしゃべりを楽しむ。社交の伝統の長い国だからか、みんな話上手だ。最近観た映画や読んだ本の話、美術展など幅広いテーマが話題になる。

パリ市内に住む友人宅に昼食に招かれたとき、いつもはパンツ姿の友人がスカートにハイヒールを履いてエレガントな装いをしているのに驚いたことがある。社交の場であるから、きちんとおしゃれをするのだ。普段着とそう変わらない服装で出掛けてしまった私は、大いに反省した。

日が長くなる45月になると、フランス人の関心はもっぱら「バカンス」になる。パン屋や肉屋のような小売店も夏に1カ月くらい休業する。「バカンスはどこへ行くの」などと話し合うフランス人は心底うれしそうだ。秋には、「バカンスはどうだった?」という会話で盛り上がる。

南仏の海辺など人気のバカンス先で観察していると、彼らは実に何もしない。海辺で寝そべって、肌を焼いている。あるいは、眠っている。あちらこちらへ出かけて、観光して回ることはしない。「何もせずに、のんびり」というのが、バカンスの醍醐味なのだ。「バカンス」には「空白」という意味もあるから、頭をからっぽにしてリフレッシュするというのは正しい過ごし方なのかもしれない。

ゆとりのある労働環境が家庭と仕事の両立を支え、バカンスでリフレッシュすることを可能にしている。日本で女性が働き続けられるようにするには、長時間労働の慣習を変えることだけでなく、母親の仕事を合理的な視点から見直すことも必要ではないだろうか。

◆◆北欧・イギリス・フランスの子育て政策の紹介

(出典=政府資料・世界各国の少子化対策 : 日本の少子化問題・対策について考えよう)

◆◆妊娠育児、切れ目なく支援 フィンランドの公共施設「ネウボラ」

2017923日朝日新聞

「ネウボラおばさん」と呼ばれる保健師のヤーナ・フォルスルンドさん(右)ら。それぞれの保健師の部屋を家族が訪れ、面談や健診を行う=フィンランド・ポルボー市、3月撮影

 新しく生まれる命を社会全体で迎え、育む。そんな理念のもとに、妊娠から出産、育児まで「切れ目のない支援」を実践しているのが北欧のフィンランドです。今春、記者が訪ねました。

 首都ヘルシンキから東に約50キロ離れたポルボー市。ハンナ・ペソネンさん(40)が、6歳の息子に予防接種を受けさせるため、3歳の子も連れて公共施設「ネウボラ」を訪れていた。

◆「アドバイスの場」

 ネウボラは、フィンランド語で「アドバイスの場所」を意味する。国内すべての自治体に約800カ所整備されている。

 妊娠の兆候があった女性は、病院ではなく最寄りのネウボラに向かう。常駐する保健師が担当になり、初産だと少なくとも9回の健診や面談を行い、出産後に家庭訪問もする。予期せぬ妊娠で悩んでいる女性もいるため一律に「おめでとう」と声をかけることはせず「妊娠についてどう感じているか」を聞くなど、つねに女性に寄り添う。彼女たちは親しみを込めて「ネウボラおばさん」と呼ばれる。

 保健師は家族全員の健康状態、夫婦の関係、家計の状況などについても話し合う。家庭内暴力の相談なども引き出すよう努める。育児環境を知り、必要な場合はサポートにつなげるためだ。出産後も同じ保健師がそのまま担当することが多く、乳幼児健診や予防接種などのサポートを続け、子どもが6歳になるまで成長を見続ける。

◆泣く子に困り電話

 保健師のヤーナ・フォルスルンドさん(33)は「同じ保健師が接しているからこそ、ちょっとでも気になる点があった時に気付いて話題にしやすい。家族側も打ち明けやすい」と話す。

 フィンランドで娘2人を産み、育てている下村有子(くにこ)さん(49)は「社会に子育てを支えてもらった」と話す。子どもが泣きやまず困り果て、ネウボラに電話したことも。「知っている専門家に相談に行く感じ。でも一緒に考えてくれた」。サービスはすべて無料だった。

 ネウボラが誕生したのは1920年代。現在の利用率はほぼ100%だ。妊娠4カ月末までに妊婦健診を受診すれば、収入に関係なくベビー服や哺乳瓶など約50品が詰まった「育児パッケージ」か現金をもらえることも、受診の動機になっている。

 「切れ目のない支援」とともに、ネウボラの特徴といえるのが、各援助機関を結ぶ「結節点」になっていることだ。

 両親向けガイドブックには、子どもを養子に出す場合や流産した時の支援についても紹介されている。近年は、産後うつや子どもの発達上の課題を早く見つけることも重視していて、気になるサインを見つけた保健師は医師やソーシャルワーカーに助言を仰いだり、医療機関や支援者につないだりする。

◆日本でも取り組み

 日本でもネウボラを参考にした取り組みが広がる。三重県名張市は「名張版ネウボラ」と称した支援サービスを2014年に開始。フィンランドの仕組みとは異なるが、子育て世代包括支援センター長の西嶌知子さんは「切れ目なく母子に寄り添う支援を、と始めた結果、虐待予防にもつながっていると実感している」と話す。(山本奈朱香)

◆高負担・高福祉国家のスウェーデン

スウェーデンでは出生率が1980年代に1.6人台にまで低下し、フランスより早く問題となっていた。

女性および低所得者層への社会制度を見直し、各種手当の導入を行うことで1990年代前半に出生率が2人を超え、多くの先進国のモデルケースとなった。

1.充実した育児休業制度と保育サービス

 充実した育児休業制度 

 ・両親保険

   休業直前の8割の所得を390労働日(=毎日休業したとして

   期間は1年半に相当)にわたり保障されます。

 ・スピードプレミアム

   2年半以内に次の子を産むと、先の子の出産の休業直前の所得の

   8割が、育児休業中に再び保障されます。

 子供を出産した7割以上の女性が1年以上の育児休業を取得しています。

 勤務時間短縮制度

   少ない残業(ほとんどが所定内労働時間)、短い通勤時間(日本の

   平均の約半分)、育児休業制度などによる時間短縮労働などにより

   男女ともほとんどが午後6時前に帰宅しています。

2.児童手当

子ども一人当たり月額約11000円が16歳まで給付される。住民登録をすれば、外国人でも7歳から16歳までの義務教育の期間はもちろん、高校、大学も授業料は無料だ。妊娠、出産にかかわる費用は無料、子どもの医療もほとんどの自治体で歯科も含めて無料

◆外国人妊婦が駆け込んだイギリス

イギリスでは1960年代から出生率が下がり、1990年代まで少子化が続いていました。しかし、様々な対策で2000年以降には出生率を持ち直し

1.外国人の出産無料

出典思わず子どもを産みたくなる!海外の少子化対策がスゴい by GowMagazine(ガウ!マガジン)

外国人の出産や医療費までもが無料になる。国境付近の病院は外国人妊婦で溢れるほど。

2.「Child Trust Fund制度」

出典シングルマザーが少子化問題解決

国から250ポンド(35,000円程度)が補助金としてバウチャー(金券)の形で支給されます。親は子供の誕生時から1年以内に国から送付されたバウチャーを金融機関に提示して、子供名義の口座を開設します。その後は、7歳の誕生日に250ポンドが支給されます。口座に入金された補助金等は、株式や債券、投資信託、預金、生命保険等に投資します。これにより得られた配当や利子、キャピタルゲインは非課税となります。

口座の資金は、子供が18歳になるまで引き出すことができません。しかし、18歳になったときには、まとまった資金を手にすることができます。

◆過去最低の1.53人で慌てたオランダ

オランダでは、1970年代~80年代にかけての出生率が大幅に低下し、1995年には過去最低の1.53人となってしまいました。

1.登録パートナー制度

出典シングルマザーが少子化問題解決

法律婚をしないカップルや、同性同士のカップルなどが子供を育てることを認める制度

ワークシェアリングや同一労働同一賃金制度の導入

出典シングルマザーが少子化問題解決

パートタイム労働者であっても、正規社員と同様に社会的な地位や権利が認められる制度の導入により、家計の維持、家族との時間の増加によって、出生率の回復につながった。

◆大幅な改善を見せモデルケースとなったフランス

フランスでは、1,994年に合計特殊出生率が1.65にまで落ち込み早急に取り組んだ結果、1,994年を底として順調に回復し2,003年には合計特殊出生率は1.89となりました。

1.妊娠・出産手当(妊娠5ヶ月~出産)

妊娠・出産にかかる全ての費用について保険が適用される

2.乳幼児手当(妊娠5ヶ月~生後3歳)

子供1人当たり約23,000円/月が支給

3.家族手当

・子供が2人で約16,000円/月、1人増える毎に約20,600円/月が追加され支給される。

・子供が成長していくにつれ、支給額が加算される。

1116歳 約4,500円/月、16歳以上 約8,000円/月 加算。 

・子供が3人以上の場合は1人毎に、約15,000円/月 支給される。

・新学期手当(小学生以上)が、約29,000円/年 支給される。

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投稿者:

Daisuki Kempou

憲法や労働者のたたかいを動画などで紹介するブログです 日本国憲法第97条には「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである」と書かれています。この思想にもとづき、労働者のたたかいの歴史、憲法などを追っかけていきます。ちなみに憲法の「努力」は英語でストラグルstruggle「たたかい」です。 TVドラマ「ダンダリン・労働基準監督」(のなかで段田凛が「会社がイヤなら我慢するか会社を辞めるか2つの選択肢しかないとおっしゃる方もいます。でも本当は3つ目の選択肢があるんです。言うべきことを言い、自分たちの会社を自分たちの手で良いものに変えていくという選択肢です」とのべています。人にとって「たたかうこと」=「仲間と一緒に行動すること」はどういうことなのか紹介動画とあわせて考えていきたいと思います。 私は、映画やテレビのドラマやドキュメントなど映像がもっている力の大きさを痛感している者の一人です。インターネットで提供されてい良質の動画をぜひ整理して紹介したいと考えてこのブログをはじめました。文書や資料は、動画の解説、付属として置いているものです。  カットのマンガと違い、余命わずかなじいさんです。安倍政権の憲法を変えるたくらみが止まるまではとても死にきれません。 憲法とたたかいのblogの総目次は上記のリンクをクリックして下さい

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